2026年後半、SEOは何を見るべきか|AI検索時代の「順位のその先」

「検索順位は上がっているのに、問い合わせが増えない」
「アクセス解析を見ると、オーガニック検索が少しずつ減っている」
ここ1年ほど、こうした内容をよく見かけます。

原因の多くは、サイトの品質が落ちたことではありません。検索する人の行動そのものが変わってきていることが背景にあります。
数字は各調査時点のものです。「正解」ではなく「判断材料」としてお読みいただければと思います。

ゼロクリックはどこまで進んだのか

Ahrefsが2024年10月からの15か月間、910万人・131億件の検索イベントを分析した調査があります。
結果は、全体の約47%がクリックされずに終了。前回調査から2.6ポイント増えました。
注目すべきは、減った分の内訳です。減少はオーガニック検索のクリックにほぼ集中しており、広告のクリック率はほとんど変わっていません。
検索結果の上部でAIによる回答や各種の表示要素が答えを返しきってしまい、その下にあるサイトへの流入だけが削られている構図です。
また、検索の76.8%は1回の検索でセッションが完結していました。
ユーザーが「何度も検索し直して探す」必要がなくなってきていると読むこともできます。

日本のSEOは、まだ猶予がある

一方で、日本のゼロクリック率は41%と、調査対象国のなかでは比較的低い水準でした。米国は66%、英国は65%ですから、かなりの差です。
さらに、米英ではモバイルのゼロクリック率が突出して高いのに対し、日本や東南アジアではデスクトップとモバイルの差が6ポイント程度と小さい。
理由については、日本の検索結果に表示される要素の構成が異なる、天気や乗換案内は専用アプリで済ませる人が多い、といった仮説が挙げられていますが、いずれも推測の域を出ません。
打撃を受けやすいサイト種別にも偏りがあります。
情報提供型のサイト(WikipediaやIMDbなど)は本来のトラフィックの約3分の1をナレッジグラフに奪われている一方、体験型・ツール型のサイトは相対的に影響が小さいという結果でした。
つまり日本の事業者には、まだ手を打つ時間が残されています。
ただし、方向がわかっているのに動かない期間は、そのまま差になります。

AI検索からの流入は、実際どれくらいあるのか

「ChatGPT経由の流入対策を」と言われても、実数が見えないと投資判断ができません。
数十サイトのGA4データを統合して継続追跡している事例では、2026年5月時点でAI経由のトラフィックはオーガニック対比0.4%程度。
伸び率が同水準で続けば、1年後に1.2〜1.3%、つまりBing並みになるという試算が示されていました。
正直に言えば、この数字だけを見て「今すぐ全力で対応すべき」とは言いにくい水準です。
ただし、変動が非常に大きい点は押さえておく必要があります。
2026年5月にAI流入が急増したのは、5月7日のChatGPTのUI変更(回答内での引用リンク表示)が主因とされ、サイトによっては2〜5倍の伸びが観測されました。
プラットフォーム側の仕様変更ひとつで、桁が動きうるということです。

数字に出ない「推薦」の影響

もっと重要なのは、GA4に現れない影響のほうです。
Similarwebが金融・旅行・美容の3業界を対象に行った調査では、ChatGPTでブランドを推薦されたユーザーは、7日以内にその公式サイトを訪問する確率が競合より平均約2.5倍高いという結果が出ています。
このとき、ユーザーはAIの回答内のリンクを踏みません。後日、ブランド名で検索して直接訪れます。
GA4上では「指名検索」あるいは「ダイレクト」として記録され、AIの影響は消えてしまいます。
asairo.comの解析でも、オーガニック検索が減る一方でダイレクト流入が伸びる、という似た形が出ています。
単純に「SEOが弱くなった」と読むと判断を誤りかねない領域です。

AIに引用されるページには、共通点がある

では、AIの回答に取り上げられるページは何が違うのか。
Kevin Indig氏らによる大規模調査から、相関の強い要因が挙げられています(因果関係の証明ではない点は前提として押さえてください)。

情報の鮮度

3か月以上更新されていないページは、AIに引用されなくなる可能性が3倍以上高い。
引用されたページの70%以上は過去1年以内、50%以上は過去6か月以内に更新されていました。
商業系のクエリではさらに基準が厳しく、80%が過去1年以内の更新です。

コンテンツの構造

見出しタグが適切に階層化されているページは、引用可能性が約2.8倍。
ChatGPTで引用されるページの約8割が箇条書きを使用し、6割以上が3種類以上の構造化データを実装していました。

外部からの言及

引用の85%は、自社サイト以外から発生しています。
比較記事、まとめ記事といった第三者のコンテンツです。
とりわけYouTubeが強く、How-toや概念解説・比較では引用元の75%をYouTubeが占めていました。

順位との関係

AI Overviewsに引用されるURLの約60%は、従来の検索で20位以内に入っていません。
これは「SEOが無意味になった」という話ではなく、AIが質問を細かいサブクエリに分解して探しに行く(クエリファンアウト)ためと解釈されています。
分解された先の小さな問いで的確に答えているページが、拾われているわけです。
構造化とマークアップは、私たちマークアップエンジニアが最も貢献できる部分でもあります。
見出しの階層、リストの使い方、構造化データ。
これまで「SEOの基本」として扱ってきた作業の価値が、AI検索によってむしろ上がっているのが現状です。

ChatGPTで「選ばれる」ブランドの条件

引用されることと、選ばれることは別です。
56人・221タスクで行われたChatGPT内の商品選択調査は、示唆に富んでいます。

  • 選ばれたブランドは回答内での表示頻度が約24%、選ばれなかったブランドは約11%と約2倍の差
  • 参加者の92.8%が回答内のリンクをクリックせず、ChatGPT内で意思決定を完結
  • 推薦理由を尋ねなかった人が48.9%、別途調べ直さなかった人が約61.2%、65.4%は本文を精読せず斜め読み

選択に効いていたのは、比較表での提示、「◯◯向けベスト」といったラベル付け、そして最新かつ正確な価格表示でした。
逆に、回答内にデメリットが含まれると選択率は下がります。外部のレビューをどう蓄積するかが、そのまま結果に効いてくるということです。
この状況は「デジタル上の新しい商品棚」と表現されていました。
棚に並んでいなければ検討にすら入らない。並んでいても、隣の商品より情報が古ければ選ばれない。
実店舗の棚と同じ理屈です。
ただしこの調査は相関を示すもので、参加者の3分の2はAIを毎日使うヘビーユーザーです。
一般ユーザーの行動とは差がある可能性があります。

Googleが評価する「労力」とは何か

AI検索の話が続きましたが、Google検索側の基準も明確になってきています。

検索品質評価ガイドラインには「労力(Effort)」という語が100回以上登場します。元評価者のCyrus Shepard氏によれば、これは文字数の多さでも、制作時間でも、人間が書いたかどうかでもない。「ページ上に、手間をかけた痕跡が見えるか」で判断されるものだといいます。

具体的には次の6点です。

  1. キュレーションと編集 — 集めただけでなく、読者の目的に合わせて取捨選択・整理されているか
  2. 独自の付加価値 — 独自データ、実体験、レビュー、オリジナル取材があるか
  3. 一次情報 — テキストだけでなく画像・動画も対象。ストック画像ではなく自前の撮影か
  4. 水増しの回避 — 必要な情報が冒頭で明確に伝わるか。文字数稼ぎは評価されない
  5. 質の高い議論・考察 — 事実の列挙ではなく、根拠に基づく独自の判断があるか
  6. UGCの活性度 — フォーラム等では参加人数、議論の活発さ、視点の多様性も考慮

象徴的な例として、雑草対策をAIモードで調べた際に、雑草の種類ごとに1か月後・3か月後の写真を撮り続けた個人ブログが採用されていた、という体験談が紹介されていました。予算の大小ではなく、手間の痕跡が評価されている例です。

AIで記事を量産すれば順位が上がる、という時期はすでに終わっています。むしろ逆で、AIに書けない情報を持っているかどうかが分岐点になりました。

KPIを「順位」から動かす

2026年前半から、取得した順位と実際の表示が一致しないケースが報告されています。
広告・地図・ニュースなどの表示要素が増え、1位でも見え方が大きく変わることも珍しくありません。順位という指標そのものの精度が落ちてきている、という見方です。
そこで提案されているのが、KPIの置き換えです。

  • 初回訪問時のニュースレター・LINE公式・会員登録など、直接チャネルへの誘導数
  • 検索順位ではなく、検索経由の売上・LTV
  • 指名検索の増加(生成AIにトラフィックを奪われにくい指標)

AI検索側の成果測定については、信頼度によって4層に分けて扱う考え方が整理されています。

  1. 直接観測 — GA4・CRMで確認できる数値。信頼度は高いが、AI検索の影響の「下限」として扱う
  2. 自社の代理指標 — 指名検索やダイレクト流入の増加。可能性を示すが断定はできない
  3. 外部の代理指標 — 競合との露出シェア比較など、外部ツールで見る相対値
  4. 推計値 — AI経由の推計売上など。経営報告には使えるが、推計であると明示する

「流入が少ないから成果がない」と過小評価するのも、「指名検索が増えたのは全部AIのおかげ」と過大評価するのも、どちらも危険だということです。

明日からできること

情報が多い分野ですが、やるべきことはそれほど奇抜ではありません。

現状把握

ChatGPTとGemini(この2つで利用の大半を占めます)で、自社名・サービス名を尋ねてみる。説明は正確か、古い情報が混ざっていないか、カテゴリ名で質問したときに候補に入るか。引用されたメディアはリスト化して残しておきます。

SEO基盤の確認

重要ページがインデックスされているか。JavaScript依存でAIが本文を読めなくなっていないか。著者・監修・運営会社は明示されているか。特に料金情報は、自社サイトと外部メディアで食い違いが起きやすく、AIの誤案内とユーザーの不信に直結します。

サイト内検索結果ページのブロック

見落とされがちですが重要です。無限にURLが生成されクロールバジェットを浪費するだけでなく、第三者がスパムキーワードで検索した結果ページをインデックスさせ、それがAIの回答に取り込まれる悪用事例が報告されています。robots.txtでのブロックが基本です(noindexとの併用はNG。クロールを止めるとnoindexタグ自体が読まれません)。

優先ソース登録ボタンの設置

Google検索の優先ソース機能は、登録したサイトにAI Overviews・AIモードで優先バッジが付く仕組みです。すでに60万以上のサイトが登録しており、設置コストは高くありません。

独自情報を増やす

顧客事例、実務経験に基づく知見、独自調査、比較・検証データ、あえての失敗談。逆に、一般論の解説記事、AI生成だけの記事、公式情報の要約記事は増やす意味が薄くなっています。


2026年後半のSEOを一言でまとめるなら、「クリックを取る競争」から「選ばれる状態をつくる競争」への移行です。

  • ゼロクリックは世界的に約47%まで進行。日本は41%で、まだ時間がある
  • AI経由の直接流入は0.4%程度だが、数字に出ない「推薦」の影響はすでに現場で観測されている
  • 引用されるのは、更新が新しく、構造が整理され、外部で言及されているページ
  • Googleが評価するのは文字数ではなく、ページ上に見える「手間の痕跡」
  • KPIは順位から、売上・LTV・指名検索へ

そして結論として繰り返し出てくるのは、特殊なテクニックではなく、良質なコンテンツ・独自情報・信頼の積み上げという従来の延長線上にあるという指摘です。
llms.txtのようなAIエージェント向けフォーマットはまだ標準化の途上で、先行対応が無駄になる可能性も指摘されています。
流行の施策を追うより、土台を固めるほうが確実です。
浅色デザインでは、GA4・Search Consoleの分析から、サイト構造の見直し、AI検索を踏まえたコンテンツ設計まで、一貫してお手伝いしています。
「順位は悪くないのに成果が出ない」段階でご相談いただくのが、いちばん打ち手が残っている状態です。

ぜひお気軽にお問い合わせください。

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2026.09.06(日)